くび・甲状腺の症状|京都市右京区の耳鼻咽喉科・頭頸部外科|本多耳鼻咽喉科・頭頸部クリニック

「くび(頸部)」にはリンパ節、唾液腺(耳下腺・顎下腺)、甲状腺、筋肉や血管など、多くの組織が密集しています。そのため、首の病気の原因も、感染や炎症などの良性のものから、がんやリンパ腫など悪性のものまで様々です。くびに「しこり」「腫れ」「痛み」を感じて受診される方は少なくありませんが、病気の種類によって治療が大きく異なるため、正確な診断が大切です。
注意すべき症状
首と同時に次のような症状がある場合には注意が必要です。
- のどの痛みや飲み込みにくさが続いている
- 声のかすれ
- 耳の痛み(のどの病気からの放散痛のことがあります)
- 片方の鼻の鼻づまりや鼻血が続いている
- 口の中に治らない口内炎、潰瘍や腫れものがある
- 扁桃腺が大きい
- 体重が急に減ってきている
検査
- 触診:しこりや痛みの位置(種類)、硬さ、動きやすさを確認
- 咽喉頭内視鏡検査:リンパ節腫脹の原因となる、のどの病気の確認
- 超音波(エコー)検査・CT検査:リンパ節・甲状腺・唾液腺の内部の状態を観察し、異常のある場所、広がりを確認
- 細胞診(細い針で細胞をとって調べる検査):首のしこりがある場合、腫瘍かどうか、良性か悪性かを判断する検査
- 感染症検査・採血検査:炎症の状態やホルモンの値を調べる検査
くびのしこり
首のしこりの多くは良性ですが、以下のような場合には注意が必要です。
- 2週間以上たっても小さくならない
- 痛みがなく、硬くて動かない
- 皮膚にくっついている、または表面の皮膚がただれている
- 首の真ん中にあり、飲み込むと一緒に動く
- 急に大きくなってきたしこり
リンパ節の腫れ
- 感染に伴うリンパ節炎:かぜや扁桃炎、虫歯などの感染でリンパ節が反応して腫れます。押すと痛みを伴うことが多いです。多くは数日〜数週間で小さくなります。
- 亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病):若い女性に多く、発熱と痛みが強いしこりです。
- 化膿性リンパ節炎:強い痛みや発赤、発熱を伴い、膿がたまる状態です。
- リンパ節転移:咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がんなどの頭頸部がん、肺や腹部のがんから首のリンパ節に転移してしこりとして見つかることがあります。
- 悪性リンパ腫:首のリンパ節が固く腫れてくる血液疾患で、痛みがない場合も多いです。
- 結核性リンパ節炎・サルコイドーシス:特殊な感染症や炎症性の病気で首のリンパ節が腫れることもあります。
耳下腺(耳の前・下にある唾液腺)の腫れ
- 耳下腺腫瘍:良性が多いですが、悪性腫瘍の場合もあります。
- 耳下腺炎:細菌やウイルス(おたふく風邪など)が原因で耳の下が腫れて痛みを伴います。
- 線維素性唾液管炎(Kussmaul病)、木村氏病、IgG4関連疾患:比較的まれな炎症性や免疫性の病気でも耳下腺が腫れることがあります。
顎下腺(あごの下の唾液腺)の腫れ
- 顎下腺炎:細菌感染によるものが多く、腫れて痛みます。
- 顎下腺唾石症:唾液の通り道に石ができて腫れやすくなります。食事のたびに腫れるのが特徴です。
- 顎下型ガマ腫:唾液がたまって嚢胞のようになる状態です。
- 顎下腺腫瘍:良性、悪性いずれもあります。
- 木村氏病、IgG4関連疾患:免疫異常による慢性的な腫れが生じます。
先天性(生まれつき)のしこり
- 嚢胞(のうほう)性疾患:袋状の構造があり、感染をきっかけに腫れて痛みを伴って目立つようになることがあります。側頸嚢胞(鰓裂嚢胞)は若い方に多い首の側面のしこりです。
成人になってから発見された場合は、まれに中咽頭がんのリンパ節転移と区別が必要になることがあります。正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)は首の真ん中にできることが多く、甲状軟骨(のどぼとけ)のあたりで触れるしこりです。飲み込むと一緒に動くのが特徴です。
- 血管腫・リンパ管腫・血管奇形:血管やリンパ管が異常に広がってできるしこりで、柔らかくて青っぽく見えることもあります。
その他の原因
- 脂肪腫:やわらかいしこりで、脂肪のかたまりです。良性腫瘍です。
- 類皮嚢胞・類表皮嚢胞:皮膚の下にできる袋状の腫瘤。感染すると赤く腫れて痛みます。
- 神経鞘腫:神経から発生する腫瘍で、ゆっくり大きくなり、硬いしこりとして触れます。
- パラガングリオーマ:血管や神経に関係した腫瘍で、非常にまれですが、治療に工夫が必要な腫瘍です。
経過の見かたと自己チェック
- 感染が原因のしこりは、多くの場合は自然に小さくなります。
- ご自身でも週1回くらい首を触って、しこりが大きくなっていないか確認しましょう。
- 2週間程度で小さくならないときや、継続的に大きくなる場合には医療機関への受診をお勧めします。
甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)
首の前側にある「甲状腺」は、体の新陳代謝をコントロールする大切な臓器です。通常は左右それぞれ親指1本ほどの大きさで、真ん中でつながっています。外からはほとんど触れません。しかし、甲状腺が腫れると、しこり(甲状腺結節)を感じたり、首のふくらみ(甲状腺腫)に気づいたりすることがあります。腫れの原因はさまざまで、多くは良性で心配のないものですが、中には薬や外科治療が必要な病気もあります。急速に大きくなったり、痛みを伴う場合にも注意が必要です。悪性腫瘍の場合には、声がかすれてしまうこともあります。甲状腺の働きがおかしくなる病気としては、バセドウ病(機能亢進)と橋本病(機能低下)が有名です。
症状
- 首の前がふくらんで見える、しこりを触れる
- のどの圧迫感や痛み
- 声のかすれ、飲み込みにくさ
- 甲状腺ホルモンの異常による症状(動悸、体重減少、だるさなど)
原因
- 良性の結節や良性腫瘍(腺腫様甲状腺腫や濾胞腺腫)
- 甲状腺機能の異常(バセドウ病、橋本病など)
- 炎症性疾患(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など)
- 悪性疾患(甲状腺がん、悪性リンパ腫など)
検査
- 超音波検査:腫れやしこりの性状を詳しく評価
- 喉頭内視鏡検査:声帯の動きを確認
- 血液検査:甲状腺ホルモンや自己抗体、腫瘍マーカーの確認
- 細胞診:しこりに細い針を刺して細胞を調べる検査
治療
- 良性結節:経過観察、または大きさや圧迫症状がある場合は手術
- バセドウ病や橋本病:内服薬による治療
- 甲状腺炎:対症療法や一時的な消炎薬の使用
- 甲状腺がん・悪性リンパ腫:手術、放射線、化学療法など専門的な治療
当院では、甲状腺の異常に関して、様子観察でよいものかを判断し、必要に応じて高次病院や専門施設と連携して診断・治療を行います。