のど・くちの症状
のど・くちの症状

「のど(咽頭・喉頭)」と「くち(口腔)」は、食べる・飲み込む・話す・呼吸するなど生命に直結する働きを担っています。各種感染症のみならず、自己免疫性疾患、神経疾患、腫瘍性疾患など、さまざまな病気の症状が現れる部位でもあります。
感染性扁桃炎の原因や重症度は様々です。ウイルス感染のことが多いですが、細菌性感染では溶連菌が有名です。感染が扁桃の裏側に広がると、口をあけにくい、ものが飲み込みにくい、話しにくいなどの症状が出ます。重症化すると膿がたまり(扁桃周囲膿瘍)、排膿処置が必要となることもあります。EBウイルスが原因の伝染性単核球症は若い方に多く、首のリンパ節が大きく腫れやすいことが特徴です。1年で7回以上、2年連続で年5回以上、3年連続で年3回以上扁桃炎を繰り返す場合には、扁桃摘出術の適応とされています。
感染の種類によって、解熱鎮痛などの対症療法を行ったり、抗菌薬による治療を行ったりします。溶連菌感染は抗菌薬を使ってしっかりと治療する必要がある一方、伝染性単核球症は一部の抗菌薬と相性が悪いため注意が必要です。扁桃炎を繰り返す場合には扁桃摘出術が選択肢となります。扁桃摘出術を受ければ、まったく風邪をひかなくなるというわけではありませんが、発作の頻度やつらさ(熱の具合や、咽頭痛の程度)を改善する効果があります。
鼻の奥にあるアデノイドに炎症が起こり、後鼻漏・咽頭違和感・頭痛・耳閉感などを引き起こします。朝起きたときに鼻の奥の痛みや乾いた感じがあることも特徴的です。放置すると次第に炎症が下に広がり、のどの痛み、咳が現れることが多いです。口からのどを除いても見えない場所であるため、診断がつきにくい病気です。
上咽頭は口から直接は観察できないため、鼻からの内視鏡検査で診断します。鼻うがいや抗菌薬による治療が中心となりますが、胃薬や去痰薬を併用することもあります。
症状は声のかすれ・のどの痛み・咳が中心で、ウイルス風邪、声の酷使、お酒、たばこが原因のことが多いです。インフルエンザウイルスやコロナウイルスの感染症では、のどの後ろのリンパ組織が飛び石状に真っ赤に腫れていることが多いです。
ウイルス性の感染症のことが多いですが、細菌性の上咽頭炎や副鼻腔炎を併発していることもあり、抗菌薬が必要となる場合もあります。内視鏡を用いて細菌感染の有無、抗生剤の要否を判断することが多いです。声帯に炎症が及んでいる場合には声の安静(できるだけ声を使わない)や吸入による治療を行うこともあります。
声帯は声を作り出す場所です。いい声を作るためにはしなやかに振動する必要がありますが、声帯の表面(粘膜上皮)やその裏側(粘膜固有層)の変化で声の異常が生じます。声の使い過ぎで声帯の一部がタコのように固くなるのが結節です。炎症でぷっくりむくんでしまうのがポリープです。中には、裏側に袋ができてしまうことがありこれを嚢胞と呼びます。
内視鏡や硬性鏡で拡大して観察することで診断します。喉頭がんなどの重大な病気でないことを確認することが大切です。声帯結節では手術を行わず、声の安静を心がけます。飲酒やたばこを控えることも大切です。ポリープや嚢胞では、生活に支障がある場合には手術を行うこともあります。
上咽頭・中咽頭・下咽頭に発生し、異物感・嚥下障害(のみこみづらさ)・嚥下時痛(食べ物がのどにしみる)・頸部リンパ節腫大(首が腫れる)などで発見されます。お酒やたばこ、ウイルスが原因で発がんすることが知られていますが、原因不明のことも多くあります。下咽頭がんは食道がんの兄弟分なので、過去に食道がんの治療を受けたことがある方に生じやすく注意が必要です。
多くの場合内視鏡検査で病気を見つけます。組織検査で診断を確定し、各種画像検査の後、進行度に応じて手術・放射線・化学療法を組み合わせて治療します。専門施設で治療を受けていただく必要があります。
声帯にできることが多いがんです。声のかすれで見つかることが多いですが、進行すると呼吸困難や嚥下障害が出現します。ほとんどの場合喫煙が原因です。声がれが1カ月以上続く場合には一度耳鼻咽喉科での内視鏡検査を受けていただくと安心です。
内視鏡検査で病気の状態を確認します。組織検査を含めて、高次医療機関での診療が必要です。早期例では経口手術や放射線治療によって大部分で治癒します。進行期例では化学放射線療法や喉頭切除が必要となります。
ビタミン・亜鉛などの栄養不足、口腔乾燥、疲労・ストレス、ウイルスや細菌感染、自己免疫疾患などが原因で、口の粘膜に潰瘍を生じます。大きさの割に痛みが強いため食事や会話に支障が出ることがあります。カビ(真菌)が原因の場合のこともあり、舌や頬の粘膜に炎症が広がります。
病状に応じて、ステロイド軟膏や、ビタミン剤、亜鉛や鉄などの補充で治療します。ヘルペスウイルスが原因の口内炎には抗ヘルペス薬が有効です。カンジダなどの真菌が原因の場合には、抗真菌薬でうがいを行います。2週間以上、同じ場所にあって改善しない口内炎では、腫瘍の可能性を考えて組織検査を行うことがあります。
唾液分泌が減り、口の渇き・舌の痛み・口臭・虫歯や嚥下障害の原因になります。また、パンやクッキー、スナック菓子などの水気の少ない食べ物が飲み物と一緒でないと食べづらくなり、味も分かりにくくなります。降圧薬・抗うつ薬など薬の副作用やシェーグレン症候群が原因のこともありますし、加齢による唾液減少が原因であることもあります。また、慢性的な唾液腺炎が原因で唾液の量が減ってしまうこともあります。
こまめな水分摂取で体全体の脱水を予防します。食事の形態や水分の調整も大切です。また、人工唾液や唾液分泌促進薬が有効なこともあります。病状によっては膠原病専門医と連携して治療を行います。
骨が盛り上がる良性の変化です。自覚症状は少ないですが、やけどをしやすかったり、表面の粘膜に傷が入りやすいなどの問題になります。腫瘍ではないかと心配されて受診される方もおられます。顎の骨に歯ぎしりや食いしばりなどで慢性的に強い力が加わることが原因の一つとされています。
生活上の不具合が強い場合には外科的切除を行うとされていますが、実際は外科的治療はほぼ不要です。夜間の歯ぎしりや食いしばりが原因の場合には、歯科でマウスピース(ナイトガード)を作成してもらうことで進行を予防します。
粘膜に白色(白板症)や赤色(紅斑症)の病変が出現。いずれも前がん病変とされ、がん化のリスクがあります。赤色の場合、範囲が広がっている場合、しみる場合には特に注意が必要です。
一定期間の様子観察は可能ですが、病巣が消えない場合には、組織検査でがん化のチェックが必要です。根治的に全切除することもあります。
舌・歯肉・頬粘膜などに発生します。初期は口内炎に似ており、痛みが軽いこともあります。長引く口内炎や口の中の痛み、しこりが特徴です。舌がんは、歯の横腹にできることが多いです。進行すると食事や会話に支障が出ることがあります。また頸部のリンパ節が腫れてくることもあります。
口内炎が2週間以上改善しない場合には、専門的診察を受けることをお勧めします。がんの治療は手術が中心で、早期に診断できれば8割以上で完治します。
唾液腺の導管に炎症や線維化が起き、唾液の流れが悪くなる病気です。唾液がたまるためにおたふく風邪のように頬が腫れたり、顎の下が腫れたりし、痛みを伴うこともあります。頬をマッサージすると、ドロッとしたゼリー状の唾液が出てきたり、唾液の味が変に感じることもあります。
抗菌薬や抗炎症薬で炎症を抑え、十分な水分摂取とマッサージによりたまった唾液を排出させます。抗アレルギー薬やステロイド薬を使用することもあります。繰り返す場合には唾液腺管の形成術も選択肢となります。
口底や舌下部に唾液がたまる嚢胞(袋)で、透明から暗い色のふくらみができます。自分ではじけることもありますが、再発しやすいのが特徴です。小児や若年の方にも生じることがあります。
命にかかわる病気ではありませんが、根治のために、嚢胞や原因となっている唾液腺を切除する手術を行うことがあります。
唾液腺(耳下腺・顎下腺など)の導管に石が詰まり、食事のたびに腫れと痛みが出ます。多くは顎下腺とその唾液腺管の唾石症です。感染が悪化すると頸部に広がり、膿瘍を作ってしまうこともあります。
抗菌薬による治療を行います。顎下腺の唾石で小さいものでは口腔内から摘出できることがありますが、摘出術が必要なことが多いです。感染を生じていない、たまたま見つかる唾石症では様子を見ることもできます。
細菌・ウイルス感染で唾液腺が炎症を起こします。唾石が原因となることもあります。耳下腺なら耳の周り、顎下腺なら顎の下が腫れて痛みます。
細菌感染がある場合には抗菌薬を用います。十分な水分摂取を行い、唾液が詰まらないようにします。発熱や咽頭痛などウイルスによる他の症状がある場合には症状を和らげる治療を追加します。
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